HUMIDITY GUIDE
調湿建材とは?吸湿・放湿の試験値を正しく読む方法
調湿建材の吸湿・放湿の仕組みと、g/㎡、試験時間、湿度条件など性能値の読み方を解説。実際の部屋との違いも整理します。
調湿建材とは、周囲の湿度変化に応じて水分を吸収し、湿度が下がると水分を放出する性質を持つ建材です。この二つの働きを「吸湿」と「放湿」に分けて確認します。
性能値を比べるときは、大きな数値だけを見るのではなく、試験体、湿度、時間、下地などの条件をそろえて読む必要があります。
調湿は吸湿と放湿の繰り返し
湿度が高いときに材料が水分を取り込むことを吸湿、周囲の湿度が下がったときに材料から水分が出ることを放湿といいます。
吸湿量だけが大きくても、取り込んだ水分がどのように放出されるかが分からなければ、繰り返しの働きは判断できません。調湿性能を見るときは、吸湿と放湿を一組で確認します。
g/㎡は何を示している?
調湿性能の試験では、単位面積あたりに吸収・放出した水分量を、g/㎡で示すことがあります。
例えば「24時間の吸湿量」と書かれている場合、その数値は、定められた温度・湿度の試験環境で、試験体1㎡あたりが24時間に吸収した水分量を表します。部屋全体から自動的に除去できる水分量を、そのまま示すものではありません。
比較するときに確認したい五つの条件
1. 試験方法
JIS A 1470-1など、どの方法に基づく試験かを確認します。方法が異なれば、数値を単純には比較できません。
2. 湿度と温度
吸湿時と放湿時に設定された湿度、試験中の温度を確認します。湿度差が大きいほど材料の水分移動も変わります。
3. 測定時間
6時間、12時間、24時間など、どの時点の値かを見ます。同じ単位でも測定時間が違えば意味が異なります。
4. 試験体の状態
厚さ、面積、乾燥状態、表面仕上げ、試験に使われる面を確認します。製品単体と、実際の下地へ施工した状態では条件が異なる場合があります。
5. 比較対象
比較材が何かを確認します。「一般的な壁材」とだけ書かれている場合は、材料名や仕様が分からないため、比較の範囲を判断できません。
試験室と実際の部屋は条件が違う
試験室では、温度、湿度、試験体の大きさなどを管理して性能を測ります。一方、実際の部屋では次の条件が同時に変わります。
- 部屋の広さと壁の施工面積
- 換気量と窓の開閉
- 調理、入浴、洗濯物などの水蒸気発生量
- 壁の下地、塗り厚、乾燥状態
- 家具の配置や空気の流れ
- 季節、地域、室温
研究でも、実験室で確認した建材の物質低減性能と、実際の建物内の結果には、濃度や換気など環境条件の違いが影響すると報告されています。調湿性能も、試験値を実空間の保証へ置き換えずに読みます。
除湿機や換気との違い
調湿建材は電気で水分を回収する除湿機ではなく、室内外の空気を入れ替える換気設備でもありません。水蒸気の発生量が多い場合や、結露、漏水がある場合は、それぞれに合った対策が必要です。
建材の性能、換気、空調、住まい方を役割ごとに組み合わせることが、室内の湿気を考える基本になります。
OceansForestWALLの調湿性能を見るとき
OceansForestWALLの性能ページでは、吸湿と放湿を試験結果として分け、試験値が示す範囲を確認できるようにしています。表示値だけでなく、試験条件と注記を合わせてご覧ください。
参考資料
- 建材試験センター「建築材料の湿気性能試験」
- 日本建築学会環境系論文集「実環境における建材性能と実験室評価」
- 室内環境学会「調湿建材の使用が室内環境及び人体に与える影響」
- 国立研究開発法人建築研究所「住宅における湿気挙動の研究」
※本記事は調湿性能の読み方に関する一般情報です。個別の住宅で湿気や結露が続く場合は、換気・断熱・漏水など建物側の確認も行ってください。